中京区にお住まいのK様より 屋根葺き替え工事をご依頼いただきました。
既存屋根材がカラーベストであったため、カバー工法でアイジー工業スーパーガルテクトFでの施工を御提案させていただきました。
現在このカバー工法が広く認知されて来ております。
カバー工法とは、既存屋根材(カラーベストやアスファルトシングル材等)を撤去せずに上から金属屋根材を葺く工法です。(金属屋根材に限りません。一部軽量セメント瓦も施工可能です。ケイミュー(株)ROOGA等です)
本体が非常に軽いため重ね葺きをしても建物に負荷を与えません。
現行の建築基準法に沿って建てられた建物ならまず問題ありません。(極端な違法建築物は除外とします)
既存カラーベストと軽量金属屋根材の重量を合わせましても許容範囲となります。
また断熱性が向上するなどのメリットも付加されます。
既存屋根の劣化または損傷等が原因となる雨漏りの場合は殆ど補修や修繕、葺き替えとなります。
但し今後を見据えてのメンテナンスとなりますと、屋根塗装も選択の一つとなります。
K様邸の屋根に塗装が施されていました。
一見すれば綺麗に塗られていますが、塗装をした後から雨漏りが始まりました。
原因は屋根材の重なり部が塗料で目詰まりを起こし、本来排出されるべき雨水や結露水が屋根内部へと逆流して釘孔などから漏れていたのです。いわゆる縁切りが施されていなかったのです。
縁切りはスレート薄物屋根塗装の際、重要な工程となります。
雨漏りを引き起こし兼ねないためです。カッター等で塗装を切るか、タスペーサーと呼ばれる器具を差し込むか、いずれかの処置が必要となります。但し塗装前のカラーベストが反っているなどの現象により3~4mm程度隙間があればこの限りではありません。要は水の抜け道を確保する事なのです。
さてこのタスペーサーとは一体どの様なものでしょうか?
下の図をご覧ください
上の図をご説明致しますと、右下の絵図は屋根の断面となりますが、カラーベスト屋根は軒先より棟に向かって葺き重ねていきます。(どの様な屋根材も同様ですが)
すると上の図の様になります。
屋根材が重なり合う部分が必ず発生します。
この部分の処置が屋根塗装において重要なプロセスとなります。
重なり合う部分の表面が全て塗装で覆われますと、水の抜け道が確保されずに行き場を無くした水は逆流します。
そして室内への雨漏りへと繋がっていきます。
また屋根全体が塗装で覆われますと、屋根材と野地の通気が無くなり湿気の抜け道が無くなります。すると野地板の傷みが早くなってしまいます。
しかし上の図の様に器具を差し込み、水の抜け道を確保してやると素直に下へと落ちていきます。
タスペーサーとは水の抜け道を作り出す器具なのです。
今回工事に際しまして換気棟を取り付けました。
ここから湿気を逃がしてやる事が出来ます。
このように雨漏りしておりました。
~ここからは工事のご案内となります~
写真① 写真②
写真①
まず不要な既存屋根の板金役物を除去します。
高さなどにより、収まりが悪くなるためです。
写真②
次に新設屋根材の板金役物を取り付けます。
既存屋根材は撤去しませんので、直接既存屋根に取り付けます。
写真③ 写真④
写真③
ゴムアスファルトルーフィングを敷いていきます。
これは万が一新設屋根材より屋根内に雨水が入ったり、屋根内に結露水が発生した場合、新設屋根材を留め付けるビス孔などからの雨漏りを防ぐ二次防水の役割を果たします。
写真④
屋根材を葺いている経過写真です。
屋根材はこのように軒先から棟に向い葺いていきます。
また横方向に屋根材を繋げていきます。
少しでも夏場の3階の部屋の暑さを和らげるために換気棟と呼ばれる部材を取り付けます。
屋根の棟部に開口を開け、そこから自然換気させるシステムです。
現在 高気密・高断熱工法を取り入れている新築物件では多くの屋根に採用されています。
勿論、そこから雨漏りが発生しないように設計されています。
弊社でも数百棟以上の施工実績がありますが、一件の漏水事故もございません。
安心してご使用いただけます。
大屋根の工事が完了しました。
棟部に少し突起したものが見えますが、これが換気棟です。
屋根の色はブラックをお選びいただきました。
京都市内は景観条例により屋根の色も厳しく制限されている地域があります。
もっとも厳しい地域においては和瓦、もしくは銅板葺きのみ使用可といったところもあります。
K様邸の地域もグレーかブラックのみ使用可との事でございました。
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こちらは下屋根の写真です。
大屋根と同様の屋根材、色で施工させていただきました。
~ここから内装工事のご案内です~
写真① 写真②
内装工事もご依頼いただきました。
既存天井下地はベニア貼りでしたので、12mmプラスターボード(石膏ボード)に貼り替え、クロスを新調しました。
写真①
既存クロスを捲りますと、ベニアに広範囲に染みが確認出来ました。
写真②
ベニアを捲り、天井断熱材(グラスウール)を撤去します。
すると室内から屋根の野地板の状態が確認出来ました。
野地板には染みが確認出来ます。但し腐蝕の度合いで言いますと貼り替えを要する程の傷みとは言い難く、新設屋根材の留め付けビスの引き抜き強度も充分と言えるレベルです。
但し目視のみの判断となるため、屋根材を留め付けるビスは垂木ピッチで打ち込みます。
垂木は健全であったため、ビスは既存野地板を貫通し垂木まで届くようにします。
これにより、更なる強度を確保します。
写真③ 写真④
写真⑤
写真③
天井断熱材を新設します。
写真④
天井にボードを貼ります。
写真⑤
クロスを貼ります。
これで雨漏りの跡はすっかりと消え、気持ちよくお過ごしいただけます。
また換気棟を取付け、天井断熱材も一新しました。
快適性は向上したと思います。
屋根、内装工事が終わった後、外構工事もさせていただきました。
before after
外壁とブロック塀の間にモルタルを打設して、犬走りとしてありましたが凹状になるため勾配が悪いと水が溜まります。
そのため基礎部に水が廻り、土台(木部)を傷めてしまいます。
改修方法として、凹部をモルタルで埋めてしまい少し勾配を設け、その上にウレタン防水塗膜を施しました。
ウレタン防水塗膜は塗装工事でなく、防水工事となります。
密着性を高めるため専用プライマーを塗布しウレタン塗膜を二層塗り重ねます。その上にトップコートで仕上げます。
ビルの屋上などの防水工事に用いられる工法にて施工させていただきました。
これで大切な家の土台・柱を守る事が出来ます。
施工前写真
写真に写る緑色は藻やコケの類いです。
水はけの悪さが伺えます。
施工後写真
モルタル充填後、防水を施した後です。
少し勾配を設けたため水は溜まりません。
今後メンテナンスとして5年~10年内にトップコートの塗り替えは必要となりますが、土台・柱の腐食はこれで防げます。
屋根工事、外構工事をご依頼いただきましたK様 この度は誠にありがとうございました。