下京区にお住まいのN様より屋根葺き替え工事をメインとした外装改修工事をご依頼いただきました。
工事の内容はカラーベストで葺かれている大屋根・下屋根を、カラーベストを撤去して(株)ケイミューのルーガ鉄平で葺き替える屋根工事と、外壁サイディングの目地等のシーリング打ち替えと外装塗装工事です。
いずれも雨漏りの修繕・修理といったものではなく、これから先を見据えられてのメンテナンス工事として計画をお立てになられ、弊社を工事店としてお選びいただきました。
現場調査の結果、屋根は相応の経年劣化が認められ、屋根材の浮き・割れ・スレート生地の露出(表面塗装の劣化による)が随所に見られました。
外壁サイディングのジョイント目地のシーリングも亀裂が多く見受けられましたので打ち替えが必要との判断になりましたが、サイディングボード自体は24年程経った今も殆ど傷みが無く、表面の艶も大袈裟ではなく新築当時とほぼ変わらないのでないかと思われる程艶やかに輝いていました。
これは、当時出始めの最高級サイディングボードで表面に無機塗装が施してある製品を採用されてたためで、ここまで耐久性があることに大変驚きました。
この分ですと、まだまだ高耐久性を発揮してくれそうです。
勿論現在もハイクラスサイディングボードとして、無機塗装 光触媒 フッ素コーティングなどのバリエーションを揃え、各メーカーより販売されております。
サイディングボードに塗装の必要がない事が判明したため、あと外装塗装と言えば破風板や雨樋、軒天と言った所になります。
また、使用するシーリング材は極力壁の色調に近いものを選び施工させていただきました。
シーリング打ち替え後の写真ですが、サイディングボードは24年も経過してるようには見えません。
ここからは各所のbefore・ afterの写真となります。
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~ここからは施工写真となります~
写真① 写真②
写真③
N様邸の屋根工事に際しまして、既存屋根材(カラーベスト)は撤去処分する事となりました。
葺き替え後の屋根材がルーガ鉄平で、軽量断熱金属屋根材(スーパーガルテクト等)でない事(スーパーガルテクトを使用する際は殆どがカバー工法で施工します)、ルーガ鉄平でもリジュー工法と言うカラーベストを撤去せずに施工を行うカバー工法はありますがN様のご要望で撤去後、葺き替えとさせていただきました。(写真①)
北面に採光用の小屋根(私共は鳩小屋と呼んでおります)が設置されております。
三角形のガラスが組み込んでありますが、殆ど日光を採れておらず、また屋根の形状を複雑にして雨漏りを誘発し易くなっております。
あと夏場は室温の上昇を招きやすく、最近ではこの様な小屋根や天窓は葺き替えを機に撤去して欲しいとのご要望が多くなっております。(写真②・③)
開口部だった所に垂木を掛け、12mm構造用合板を貼りました。
既存カラーベストと既存板金役物を全て撤去して、ゴムアスファルトルーフィングを敷きます。
大屋根・下屋根共に急勾配のため、瓦は桟掛け工法にて施工します。
これは屋根構面に樹木もしくは合成樹脂の桟を打ち付け、そこに瓦を引っ掛け釘留めする工法です。
勾配が3/10~6/10の場合は直接屋根構面に瓦を釘留めする事も出来ます。
いずれにせよメーカーの施工マニュアルに従って施工を進めていきます。
いよいよ瓦葺きです。
ここまでは役物の取付けや墨出し、桟打ちなどの準備に時間が掛かりなかなか進んだ気がしませんが、ここからは一気に屋根が葺けて行きますので目に見えて完成へと進んでいきます。
屋根裏(小屋裏)の換気を促す換気棟と呼ばれる部材を取り付けます。
夏場 容赦なく照りつける太陽により、小屋裏の温度はどんどん上昇していきます。
勿論それは室内に伝達され、日が落ちてもなかなか温度が下降しません。
そこで換気棟を取り付けますと、熱せられた空気が上昇する性質を利用して外部に自然換気を促します。空気を循環させる事により、少しでも室内温度の上昇を抑制させるシステムです。
弊社では換気棟の取付けを積極的にお奨めしております。
屋根に穴を開ける事に抵抗を感じられる方もいらっしゃいますが、各メーカー漏水事故が起こらぬよう度重なるテストの上販売しておりますし、弊社におきましても今まで取付けさせていただきました屋根で一度の漏水事故も起きておりませんので、ご安心してお使いいただく事が出来ます。
換気棟の板金役物を取り付けて棟を被せていきます。
大屋根の葺き替えが完了しました。
続いて下屋根の工事に取り掛かります。
ここも大屋根同様カラーベストを撤去します。
ゴムアスファルトルーフィングを敷きます。
ここで大事なのが壁際の処理です。既存の壁水切りを撤去して、壁の一番奥まで防水シートを差し込みます。こうする事により万が一壁から雨漏りしてもこの防水シートが建物内への浸水を防いでくれます。
葺き替えにおきましてはこの壁際の処置が最も重要なポイントになります。
また葺き替え工事の最中に発生する漏水事故で一番多いのがこの壁からの雨漏りです。
下屋根の工事も完了しました。
この下屋根の葺き替えで、葺き替え前と後とで決定的に違うのが壁の仕舞いです。
葺き替え前は壁の内側に水切りが入っています。しかし葺き替え後は壁の外側に水切りを取り付けます。
つまり新設した水切りは壁の外部からの浸水は防げますが壁を抜けて入ってきた水には対応が出来ません。
従って先程のゴムアスファルトルーフィングの下葺きが砦となります。
屋根は二重の防水システムと考えます。表に見える屋根材が一次防水で、その下に敷き込んだ防水シートが二次防水となります。瓦などは屋根の内部に雨水の浸入が100%無いとは言い切れません。
また屋根の内部で結露や霜が発生する事もあります。このため二次防水が非常に重要になってきます。
建物に付随する下屋根とはまた別に続きの離れも葺き替えました。
写真① 写真②
一部片流れの屋根がありましたが、壁が立ち上がってパラペットになっていました(写真①)
収まりが悪い為、立ち上がりを切断して屋根構面を揃えます。
スッキリとしました。(写真②)
写真① 写真②
写真③
写真②と写真③は母屋と離れの取り合う谷部の写真ですが、屋根の途中で谷芯が変わる変則的な形状になっていました。
各方向から水が寄って来る部位で雨仕舞いには特に気を付けます。
先程パラペットから造り変えた部位に瓦を葺いていきます。
ここに一ヶ所換気棟を取り付けました。
離れの屋根も完成しました。これで工事は足場の解体を残し、全て完了です。
弊社では、足場を掛けての工事におきましてはこの様なシートを掛けさせていただいております。
またこのブログをお読みいただいております皆様の御近所でお仕事をさせて頂く事があるかも知れません。
その時はどうぞ宜しくお願い致します。
最後にN様 この度は工事をご依頼いただきまして、誠にありがとうございました。