北区 M様より外装改修工事をご依頼いただきました。
屋根の葺き替え 外壁塗装 シーリングの打ち替えとベランダの防水工事 雨樋の取り替えと外装一式の改修工事です。
工事着手前に葺かれていた屋根材は某社の薄物化粧スレート瓦ですがアスベストが建材として使用禁止になってから代替品として開発された製品でした。
アスベストの代用としてパルプ繊維を混入したのですが、経年劣化により瓦の表層からパイ生地の様にささくれてめくれ上がる現象が起きて、一時テレビ等で報道される事態があった様です。
本工事では、全て撤去して軽量セメント瓦 ルーガ鉄平で葺替えをさせていただきました。
また屋根が急勾配という事もあり、足場架設は必須となりましたので、同時に外壁塗装を含む外装改修工事としてM様邸の外装メンテナンス工事をご依頼いただきました。
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写真① 写真②
写真③
急勾配の屋根ですが、屋根の状態と面積算出の採寸のため 屋根に上がりました。
写真①~③までに写っている天窓に足を掛けられたので、上がる事が出来ました。
急勾配の大屋根に比べると、下屋根は約4寸勾配で足場架設の必要はありません。
足場を架設しました。
写真④ 写真⑤
写真⑥ 写真⑦
屋根に足場が設置されましたので、じっくりと屋根を観察出来ます。
④~⑦まで共通する事は、瓦の端部がボロボロと削げ落ちてるのがわかります。
落ちてしまったところは白く見えます。
この現象はどんどん進み 過去には瓦の半分近くまで無くなってしまってるのを現認した事があります。
また瓦の表面が全体的に白く見えます。
これは瓦の表面塗装が劣化により風雨に流されて、スレート生地が露出始めた事を意味します。
下屋根の写真ですが、状況は同じです。
既存の瓦を捲って降ろしていきます。
緑色のシートが出現しました。
これはアスファルトルーフィングと呼ばれる下葺用防水シートです。
現在は更に防水性に優れたゴム系アスファルトルーフィングが主流となっております。
これらの下葺防水シートにより、屋根内への浸水による雨漏りを未然に防ぐ事が出来ます。
写真⑧ 写真⑨
こちらは同様の下屋根の写真ですが、写真⑨は壁に黒いシミが確認出来ます。
雨水の吸い上げでこのような現象が起こります。
既存の下葺シートも除去します。
下の合板の状態を確認する為です。
腐れ等を発見した場合は、その部分の張り替え、もしくは全面張り替え、一部除去の上増し張りを行います。
既存の合板下地に不備が見られなければ新しい防水シートを下葺きします。
このシートは新設屋根材のメーカー純正品の中で、遮熱性能が飛躍的に高いケイミュー社の遮熱ノアガードⅡ といいます。
表面が銀色に光ります これはアルミ層が表層を覆っているからです。
直射日光に晒された屋根材はその熱を輻射熱として屋根の木下地に伝えようとします。
それをこのアルミ表層がはね返すのです。これがこの防水シートの最大の特徴となります。
写真⑩ 写真⑪
更に換気棟を取り付けるための開口を設けます。(写真⑩)
換気棟とは、屋根材の輻射熱等で熱せられた小屋裏(屋根裏)の熱い空気を自然換気で外部に排出させる換気システムです。
動力を用いずに気体の性質を利用した換気方法です。
写真⑪のように水切りを取り付けたりする事により、開口部からの雨漏りを防ぎます。
軒先はこのように板金役物や瓦座を取り付けます。
屋根の中央部に谷樋が入ります。
大屋根には天窓が2台据え付けられています。
天窓の廻りは板金で囲い、雨水を屋根の外に排出するようにしていきます。
瓦桟を取り付けます。瓦を葺く時に瓦の裏にある爪をこの桟に引っ掛けて釘打ちします。
ルーガは和風の雅 洋風の鉄平と2種類あります。いずれも瓦桟引っ掛け工法 直打ち工法と両工法での施工ができますが、屋根急勾配の本件では瓦桟引っ掛け工法でしか葺くことが出来ません。
桟に引っ掛けた状態で釘留めしますので、瓦が落ちたり強風で飛散する事はありません。
瓦を葺いていきます。この瓦の正式な名称は、樹脂混入繊維補強軽量セメント瓦と呼びます。
セメントで成型した瓦をセメント瓦と呼びますが、名称通り樹脂混入繊維で補強を施したため軽くて強い瓦となっております。商品名はケイミュー(株)ルーガ鉄平といいます。
本工事では雪止め金物を取り付けました。瓦で挟み込むように取り付けます。
写真⑫
写真⑬ 写真⑭
谷部の瓦は谷樋に合わせ斜めにカットして葺いていきます。(写真⑫)
天窓廻りも瓦を葺いて水切りを取り付け、仕上げていきます。(写真⑬、⑭)
写真⑮ 写真⑯
換気棟の部材を付けていきます。(写真⑮、⑯)
~ここから下屋根の工事のご紹介です~
大屋根同様に遮熱ノアガードⅡを下葺きします。
水切りや捨て樋 瓦桟を打ち、瓦を葺き始めます。
瓦を葺き上げます。
壁水切りを取り付けます。
下屋根の工事 完成です!
以前の屋根と比べて重厚感が出て、また洋風の外壁とマッチしてM様にも大変喜んでいただきました。
大屋根の工事も完了しました。
足場の有るうちに仕上がりの写真を撮りました。
屋根勾配があるので、正面より屋根が良く見えて迫力満点です!
~ここからは、外壁塗装 防水工事のご紹介です~
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壁面に高圧洗浄をかけます。
埃等を洗い流して下地シーラーの密着性を高めるためです。
写真⑰ 写真⑱
写真⑲ 写真⑳
写真㉑
次はシーリング工事の手順の説明です。
カッターの刃を入れて既存シーリングを切り取り、除去します。(写真⑰、⑱)
シーリング剤の密着性を高めるため、プライマーを塗布します。(写真⑲)
シーリング剤を打設します。(写真⑳)
専用のへらで均一にします。(写真㉑)
マスキングテープを剥がせば完成です。
外壁塗装は下地シーラー、中塗り、上塗りの計三回塗りとなります。
戸建ての塗り替え工事で圧倒的なシェアを誇るエスケー化研の塗料を採用しました。
M様邸の外壁は各面壁材や仕上げ材が異なり、それに応じた塗料を塗ります。
上の写真は鎧張り金属サイディングで、水性シリコン系塗料よりも耐候性・耐久性・低汚染性が飛躍的に優れたクリーンマイルドフッ素で仕上げました。
建物の正面側はスタッコ吹き付け部とジョリパッド塗りと、塗り分けしてありましたが、スタッコ吹き付け部は水性仕上塗材の最高グレード 水性セラタイトFでジョリパッド部はアートフレッシュで仕上げました。
軒天も丁寧に塗っていきます。
雨樋を外し、破風板も塗ります。
~ここからは防水工事のご紹介です~
モルタル防水のベランダをウレタン防水通気緩衝工法にて改修しました。
躯体と防水層の間に通気シートを敷き込み、湿気を脱気盤から排出させる工法です。
こうする事により防水の膨れなどを防止する事が出来ます。
壁に見える突起物がその脱気盤です。
ウレタン防水材を2回塗布して、仕上げにトップコートを塗布しました。
全ての工事が完了しました。
外装は全てお手入れをさせていただき、新築の様な輝きを放っています。
屋根材も塗材も最上級グレードの物を採用させていただき、長きに渡って大切な建物を守ってくれる事でしょう。
最後にM様 この度は大切な建物のメンテナンス工事をお任せいただきまして、誠にありがとうございました。