北区にお住まいのS様より、京都市の耐震助成金を利用した屋根改修葺替え工事をお任せいただきました。
上は工事が完了した出来上がりの写真となります。
before after
土葺き日本瓦から断熱材付軽量金属瓦にお葺替えさせていただきました。
S様邸におきましては、耐震助成金受給の要件を全て満たしており(昭和56年以前に建てられた建築物であること・既存屋根が土葺き瓦であること等)、まちの匠の知恵を活かした京都型耐震・防火リフォーム支援事業の制度を活用した耐震リフォーム工事をご依頼いただきました。
工事前の写真です。
棟に積まれた熨斗瓦や、平部の地瓦に損傷が見られます。
これは瓦に含まれるごく微量な水分が冬場の気温低下に伴い瓦内部で凍結膨張して起こる剥離現象です。
陶器瓦、いぶし瓦ともにこの現象は見られ、特に屋根北面に多く発生します。
ひどい場合は瓦がパイ生地のように風化して雨漏りに直結する事があり、注意が必要となります。
耐震葺替え工事に着手します。
実際の工事の手順に従ってご紹介したいと思います。
まずは工事前に全体の写真を撮ります。
ホワイトボードを設置して各工程ごとに施工写真を撮ります。
耐震助成金支給はこの写真に基づき、申請通りの工事がなされているか判断し支給されますので施工写真がもっとも重要となります。
写真が欠落してたため助成金が受け取れなかったといった話もあったようですので、写真の撮影と管理に最大限留意します。
瓦を撤去した写真を収めます。
耐震化工事の目的は軽量化と屋根構面の強化にあります。
屋根構面の強化につきましては後ほどご説明します。
軽量化の対象となるのは土で葺かれた陶器瓦やいぶし瓦です。
瓦葺きでも桟掛け葺きは対象となりません。
土葺きであることが条件となります。
いわば葺かれた土の重量が問題となっている訳です。
上の写真のように瓦の下は土でびっちり敷き詰められた状態です。
このような写真をご覧になられた方は大抵驚かれます。
土を取り除くと薄い木片が鱗状に張られた下葺きの状態が確認出来ます。
トントンと呼ばれる古来からの二次防水で、瓦の隙間等から屋根内部に侵入した雨水を部屋内に漏らさず勾配に沿って軒先まで流すやり方で、先の台風21号で瓦を飛ばされてもトントンのおかげで部屋内の雨漏りは免れたといったケースも多く見受けました。
現在では下葺き材は主にアスファルトルーフィング、ゴムアスファルトルーフィングが二次防水として使用されています。
次の工程は補強桟を入れる工程です。
ここからが屋根構面の強化工事となります。
既存の垂木の真上に補強桟を打ち付けます。
ポイントとしては、長めの釘またはビスでしっかり垂木に効かすことです。
瓦屋根の場合、軒先とけらば側は野地板より25mm~40mm程度立ち上がっています。
その高さに合わせた厚みの桟を選択して打ち付けます。
そうする事により、上に張る構造用合板を水平に張る事が出来ます。
12mm構造用合板を上下左右隙間無く張り詰めます。
普通合板やベニヤ板でなく、構造用合板を張るように定められています。
二次防水の下葺きとして、ゴムアスファルトルーフィングを張ります。
ここから断熱材付軽量金属瓦を葺いていきます。
軒先やけらば部に役物(水切り等の板金役物)を取り付け、それから本体を葺いていきます。
この商品は軒先に向かって見て、左から右方向に屋根に張っていきます。
屋根材には引っ掛けが上下に施してあり、それを嵌合させることで屋根材を一体化させていきます。
風が吹き込む隙間も無く、屋根内部でビス留めするため台風や地震に強いのです。
複数の建材メーカーからリリースされておりますが、弊社ではアイジー工業(株)スーパーガルテクトという商品を採用しております。
屋根材は軒先から屋根の頂上である棟に向かって張り進めていきます。
屋根工事は数日間また規模によって数週間掛かることがあります。
その中工事の途中に雨に降ることが多々ありますので、工事中の雨漏り防止対策には細心の注意を払います。
養生シートやテープ、シーリング剤、キャンバスシートなどを用いてお客様の大切な財産である建物、家財道具などを雨漏りからお守りします。
当社ではこの断熱材付軽量金属瓦を施工させていただく際、棟換気の取り付けをお勧めしております。
今年の猛暑も棟換気を取り付けさせていただいたお客様からは、想像以上に快適に過ごせたとのお声をいただいたり、カバー工法による断熱材付軽量金属瓦葺きで今年一番の暑さの最中に施工をさせていただいたお客様のところで工事前と工事後の室内の暑さが「全然違う」と驚きと喜びのお声をいただいたりしました。
環境の違いや個人的な体感の違いなどはありますが、概ねご好評いただいております。
換気棟システムと申しましても、機械を取り付けたり屋根が複雑な構造になったりする訳ではございません。
簡単に申しますと、屋根のてっぺんに開口を設け、そこから空気を排出して屋根裏内の空気を循環させるシンプルな方法です。
専用部材を棟部に取り付けるだけの施工の手間も殆ど掛からず、部材も安価でそれでありながら以上の費用対効果が得られると思います。
メーカーにおける厳格な漏水テストもパスしておりますので、漏水事故も当社施工実績におきましては一件もありません。
当社では施工の際にメーカー施工マニュアルに沿って施工しており、万全を期しております。
S様邸の屋根にはこのような入り組んだ形になる部位がありました。
雨水が真っ直ぐ壁にぶつかる形状になっており、このような所は雨水を導いてスムーズに軒先に排出しなければなりません。
当社が得意とする板金加工技術を駆使して雨漏りがしないことは勿論の事、見栄えもよく仕上げていきます。
屋根工事が完了しました。
複数の孔が開いている部材が換気棟です。
入り組んだ屋根はこのように綺麗に仕上がりました。
最後に提出用の写真を撮り、工事は終了です。
この後は写真を整理して所定の用紙に記入等をして受給申請に取り掛かります。
当社ではこのように申請から施工まで一元で行っております。
気になる点やご不明な点などがございましたら、どのような事でもお気軽にお問い合わせください。
最後にS様 工事をお任せいただきまして誠にありがとうございました。