中京区W様より屋根葺き替え工事をご依頼頂きました。
京都市の耐震改修工事助成金制度を使った工事となりました。W様邸は古京町屋で伝統構法で建てられているため、助成金の受給資格を満たしています。
また雨漏りもしていたため早急に修繕する必要がありましたので、葺き替えをさせていただく事になりました。
着工前です。
所々瓦が差し替えてありました。また瓦にラバーロック工法としてシーリングが塗付されています。
ほとんどの瓦は80年以上も前のものです。やはりいぶし日本瓦は寿命が長いといえます。
ただし、葺き土は違って経年劣化により表面が砂状になっていきます。葺き土は瓦と野地(木下地)との接着を担っていますので、砂状になっていきますと瓦にズレが生じてきます。一度瓦と土が剥離してズレますと、瓦を突き上げて元に戻してもまた瓦の自重で下がってきます。そのためラバーロック工法として、瓦にシーリングを打ち、固定するという工法がありますが、このシーリングを打つポイントを間違えますと、雨漏りを引き起こします。W様邸の場合もそれに由来する雨漏りが確認されました。
十数年前にこのラバーロック工法によるぼったくり商法が世間を騒がせ、今は影を潜めておりますが、当時職人とはいえない様な者が屋根に上がり、法外な料金を請求していました。この工法も水と瓦を熟知したプロが行えば問題は無いのですが…
いずれにしましても葺き土が寿命の場合は、土を葺き直し瓦を葺くか、違う屋根材で葺き替えるかなのですが、弊社では築年数が経った建物は特に屋根構面が脆弱な場合が多いので、構造用合板で構面強化して、軽量瓦での葺き替えをご提案しております。
京都市の助成金制度も弊社の提案とマッチングしていますので、制度を利用しての葺き替えをさせていただくことになりました。
瓦を捲りますと葺き土の表面が砂の様に流れていきます。80年以上瓦を支えた土です。
お役目ご苦労様でした。
葺き土を撤去しますと、杉皮、トントン、野地板と木下地が表れてきます。
この杉皮と、薄木板であるトントンを撤去します。
野地板が表れました。
実に細く、薄い板です。昔の瓦葺きは幾重にも材木を重ね、土を乗せる事で屋根構面を構築していました。
既存野地の不陸を直しながら、下地桟を打ち付けます。
構造用合板12mmを貼ります 屋根構面強化は必須です。
ゴムアスファルトルーフィングと言う下葺き材を敷きます。
これは屋根内部の結露や僅かに侵入した雨水を野地板から防ぐ防水シートです。釘穴のシール性に優れており、最近では主流の下葺き材です。
隣接する屋根の間に板金をいれます。その他の屋根材の役物を取り付けていきます。
金属瓦を葺きます。
今回は新東かわらSⅡという屋根材で施工しました。
工事完了です。
瓦の波状が大きいため、重厚感があり、色も落ち着きのあるグレー色で和風住宅によく合います。
W様 この度はご依頼頂きまして誠に有難うございました。