東山区の某和食店のオーナー様より、雨漏りの修理・修繕のご依頼をいただきまして現場調査致しました。
築80年~からなる蔵を有する立派な京町屋で、内装は美しく整えてある有名和食店様です。
調査の結果、補修では対応出来ない事が判明し葺き替えをさせていただく事になりました。
雨漏りがしておりましたのは厨房で、もちろん雨漏りがしていたのでは職人さんも存分に腕が振るえません。
また予約のお客様がせっかくのお料理と雰囲気を楽しんでいらっしゃるのに、屋根から工事の騒音が聞こえるようでは台無しになりますので、しばらくお休みをしていただきまして工事に着手致しました。
工事内容のご紹介です。
左の写真が日本瓦葺き(工事前)、右の写真がケイミュールーガ雅葺き(工事後)です。
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~ここから施工写真のご紹介となります。~
屋根の上に足場を仮設しました。
これはこの屋根部に設置された計8台ものエアコンの室外機や強制排気ダクトなどを吊り上げるためです。
エアコンの室外機を吊り上げる事により、瓦の撤去や木工事、または新しい屋根葺きがスムーズに行えます。またお店にお休みをいただいている間に必ず工事を終えなければいけません。
やぐらに組んだ足場の上にシートを掛ける事により、雨が降っても作業が出来るようにしました。
古い瓦を撤去して、土も除去しました。
木下地が見えますが板と板の間が広く、これでは次の屋根材が施工出来ません。
補強の桟を入れて12mm構造用合板を貼ります。
これでどこにでも釘やビスが効き、屋根材の留め付けが行えます。
既存の大きな箱樋が設置してありました。
この上から、耐酸被覆鋼板で成型した箱樋を被せます。
この鋼板は塩ビ樹脂シートで鋼板を挟み込んだ特殊鋼板で、名の通り耐酸性・耐候性・耐摩耗性に優れており、公共建造物や工場、大型施設などによく使用されております。
長期メンテナンスフリーを実現するため、使用致しました。
いよいよケイミュールーガ雅葺きに取り掛かります。
和瓦のような形状で、意匠的にも優れておりとにかく軽くて強い瓦です。
エアコンの室外機をいくら載せようと、びくともしません。
そう言った事もあり本商品を採用致しました。
増築部が複雑に入り組んだ所に箱樋が設置されております。
こう言った所は同じ形状に加工をした新しいものを上から被せます。
この箱樋の真下は部屋内となり、劣化が早ければ即雨漏りに直結致します。
従来のガルバリウム鋼板を更に進化させたSGL(次世代ガルバリウム鋼板)で成型された箱樋は複雑な取合いによる雨漏りの心配から解放してくれます。
ルーガ雅の施工が完了しました。
屋根の形状が複雑なので、こう言った所の施工は高度な技術と水に対する知識(雨水を操る技術・導水と言います)が必要となります。板金屋としての資質を試されるところです。と同時に美しく仕上げなくてはなりません。
ですので納得のいく仕上がりになった時の喜びや達成感は格別なものです。
最後に足場を払い工事は完成しました。
櫓に組んだ足場に8台以上の室外機を吊り上げた様相は、まるで樹に成る果実の様で(葡萄の房みたいでした)少し不思議な光景でした。
工期は二週間いただき、無事工期内に終える事が出来ました。お店には長い間お休みいただき、大変申し訳ない想いで工事に取り組みましたが、オーナー様には大変喜んでいただきお引き渡し致しました。
これで厨房の職人さんにも想う存分腕を振るっていただく事が出来ます。
最後にS様、この度は弊社に工事をご依頼いただきまして誠にありがとうございました。