西京区 N様邸にて京都市のまちの匠の知恵を活かした京都型リフォーム支援事業の耐震化工事を手掛けさせていただきました。
もうご存知の方も多いとは思いますが、決められた工事メニューで耐震化工事を行えば、京都市がその工事の費用を一部負担してくれる助成金制度です。
制度を利用するにあたり 一定の条件があり、その条件を満たした家屋建物が対象となります。
京都市によるもう一つの耐震化助成金制度と比べましても、利用し易いのが特徴です。
複雑な調査や設計の必要が無く、屋根の葺き替えをするだけで耐震化されるので、当社の実績におきましても、屋根の軽量化 屋根構面の強化と言った工事メニューでの施工・申請が多いです。
もちろん豊富な工事メニューがありますので、京町屋のリフォーム・リノベーション工事に最適な助成金制度と言えます。
before after
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~ここから、実際の工事の流れや手順などをご説明したいと思います~
写真① 写真②
写真①②
この助成金制度は、原則工事前、工事後の写真で助成金支給の可否が決まるため写真が最も重要になってきます。
申請手続きなど、申請者であるお客様自身で可能ですが、やはり弊社に代理委任される方が殆どです。
工事を進めるにあたり、写真①②のようにホワイトボードや黒板に工事内容を書き撮影します。
写真③ 写真④
写真③④
耐震化の目的である屋根の軽量化に取り掛かります。
周知の通り、重い屋根は地震の際の倒壊リスクが上がります。
まず陶器瓦と土を除去します。
写真⑤ 写真⑥
写真⑤
瓦と土を除去した後、12mm構造用合板を貼ります。
これが屋根構面の強化と言う工事となります。
そしてこれに要する費用の9/10(最大限度額10万円)が補助として京都市から支給されます。
この写真は、合板を貼った上に防水シートを貼り軒先に瓦の役物まで取付けた写真となります。
写真⑥
瓦葺きに必要な板金役物を取付けていきます。
写真はけらば瓦(屋根の端に付ける瓦)の役物を取付けたところです。
瓦からこぼれた雨水を受ける板金です。
写真⑦ 写真⑧
写真⑦⑧
板金役物取付けによる準備を終え 瓦の割り付け後、瓦桟を取り付けます。
本工事は屋根の軽量化を目的とした屋根葺き替え工事ですが、このように瓦桟引っ掛け工法による瓦葺きも助成金の受給対象となります。
「瓦なんて重たいもの 使ってもいいの?」
と思われる方も多いと思いますが、土を使わない桟葺き工法なら認められています。
理由としては
*土葺きに比べて桟掛け工法ならおよそ1/3から半分近く重量を軽減出来る
*瓦を釘等でしっかりと野地構面に留め付ける桟掛け工法なら土の上に瓦を置いただけの土葺きと
違い、地震時の被害が最小限に食い止められる
*京都市内は景観に関する条例が厳しく場所によっては日本瓦でしか屋根を葺けない所の在るため
桟掛け工法のみ認める事にした
などとなります。
写真⑨ 写真⑩
写真⑨⑩
N様邸の葺き替え工事におきましては、平板瓦を採用しました。
いぶし瓦や陶器瓦を重たいと言って敬遠される方も大勢いらっしゃいますが、以後のメンテナンスを考えますと瓦は断然有利になってきます。
焼き物である瓦は釉薬を施し高温で焼くため、表層は紫外線や太陽熱に強く、長期に渡りその美観を損なう事はありません。
耐久性につきましても同じ事が言えます。
また意匠的にも瓦は重厚感があり周りの景色にも溶け込み、地区の景観条例にもマッチングします。
あと決め手となったのは施工価格で、棟などを簡素化した平板瓦はリーズナブルな価格でご提供する事が出来ます。
写真⑪ 写真⑫
写真⑬
写真⑪
屋根構面に打ち付けた瓦桟に地瓦を引っ掛け、ステンレススクリュー釘で留め付けていきます。
ここが古来からの土葺き工法と決定的に違う点で、屋根構面にしっかり固定することで地震や台風などの自然災害からなる瓦ズレや落下、暴風による瓦の飛散などを防ぎます。
写真⑫⑬
この様に瓦を葺き上げます。
写真⑭ 写真⑮
写真⑯
写真⑭
瓦のけらば部です。
ここに写真⑮のように袖瓦を取り付けていきます。
写真⑯
瓦を葺き上げた棟部に45X45角を取り付けます。
後に取付ける棟瓦の下地となります。
大屋根の瓦施工が完了しました。
瓦の色調は釉薬瓦でもっともいぶし瓦に近い銀鱗色で施工しました。
~続いて下屋根の施工に移ります~
写真⑰ 写真⑱
写真⑲
写真⑰
工事着工前です。
写真⑱
瓦を取り除きました。
写真⑲
葺き土を取り除きました。
写真⑳ 写真㉑
写真㉒
写真⑳
既存の下葺き材を取り除きました。
写真㉑
屋根構面の高さを揃える為、補強垂木を取り付けます。
写真㉒
12mm構造用合板を貼りました。
写真㉓ 写真㉔
写真㉕
写真㉓
軒先に雨樋を取り付けます。
通常雨樋は取付けに足場を要しますが、屋根の上から金物を取付けて軒樋を掛ける工法もあります。
足場が設置出来ない狭い場所などで多く用いられます。
写真㉔
軒先水切を取り付けます。
写真㉕
屋根葺きの準備が整いました。
写真㉖ 写真㉗
写真㉘
写真㉖
瓦の段数を割り付け、瓦桟を打ちます。
写真㉗
地瓦を葺いていきます。
写真㉘
地瓦が葺き上がりました。
写真㉙ 写真㉚
写真㉛
写真㉙
壁際に熨斗瓦を積んでいきます。
そのために南蛮漆喰と呼ばれる混合土を壁際に置いていきます。
一昔前は藁などを練り込んだ粘土を土台として、見える所は漆喰を塗っておりました。
現在は白・黒・いぶしなどの着色された南蛮漆喰で仕上げるため、施工が早くなりました。
また南蛮漆喰にはシリコンが配合されたものもあり、撥水性に優れたものもあり格段に性能が向上しております。
写真㉚㉛
熨斗瓦を積みます。
写真㉜ 写真㉝
写真㉜㉝
熨斗瓦を積んだ後に板金水切を取り付けます。
これが最終の仕上がりとなります。
最後になりましたが、瓦以外の屋根工事もご紹介致します。
写真㉞ 写真㉟
写真㊱
写真㉞㉟
工事着手前です。
葺かれている鉄板は赤錆に激しく侵蝕されており、穴が開く寸前でした。
写真㊱
屋根の上にはバルコニーが設置されています。
写真㊲ 写真㊳
写真㊴
写真㊲㊳
このような下屋根の葺き替えはバルコニー内のデッキの脱着が必須となります。
既存の鉄板を撤去します。
写真㊴
12mm構造用合板を貼ります。
写真㊵ 写真㊶
写真㊷
写真㊵
改良ゴムアスファルトルーフィングを下葺きします。
写真㊶
嵌合式立平葺きで施工します。
写真㊷
下屋根の工事も完了しました。
工事が全て完了しました。
陶器瓦のため、瓦の表面のメンテナンスは今後必要ありません。
仕上がりはN様にも大変喜んでいただきました。
最後にN様 幾多ある屋根工事会社より弊社にお任せをいただきまして、
誠にありがとうございました。