西京区にお住まいのM様より、カバー工法による屋根葺替え工事をご依頼いただきました。
現在葺かれている屋根材は薄物化粧スレート瓦でニチハと言うメーカーのパミールと言う製品です。
下の写真をご覧戴くと黒い屋根材の端々が白く見える所があります。
これは屋根材の層間剥離という表層からめくれていく現象が発生しているところです。
アスベストが建材に使用禁止になった時、屋根材のメーカーからはこの薄物化粧スレート瓦の製造から撤退するメーカーと、代用材を混入して製造を続けるメーカーとに分かれました。
軽くて強度のあるアスベストが使用出来ない事で、屋根材としての強度や性能が維持出来ないと判断したメーカーは撤退し、ニチハは代用材で製造を続ける事にしたのでした。
欠陥品との声がある中、ニチハは経年劣化と主張しております。
いずれにせよ新築引き渡し後十年を超えると瑕疵担保責任は問えなくなります。
所有またはお住まいになられてる方でメンテナンスをしていただく事となりますが、層間剥離が起こると経年劣化は加速的に進行しますので少しでも早いメンテナンス工事が必要となります。
工事は直張りによるカバー工法で断熱材付横葺き金属瓦 アイジー工業(株)スーパーガルテクトを採用しました。
直張りとは、既存屋根材を撤去せずに直接新しい屋根材を上から重ねて葺く工法です。
既存屋根材の撤去費用や処分費の削減や、それによる工期の短縮など様々なメリットがあり、現在薄物化粧スレート瓦の葺替えにおいてもっともポピュラーな工法となりました。
まず屋根に防水シートとなるゴムアスファルトルーフィングを敷いて、ずり落ちないよう留め付けていきます。
その前に屋根面が平らになるよう板金や木下地は除去します。
屋根材を葺いていきます。
突起物が見えますが、これは雪止めです。
屋根材を葺き進めていき、換気棟を設置するための開口を設けます。
換気棟とは、屋根裏の空間の空気を循環させ自然換気により開口部から熱せられた空気を排出するシステムで、夏場の室温上昇の抑制をはかります。
開口部には、雨漏り防止のための水切りを取り付けます。(写真右)
木下地を取り付けた後は防水シートで覆います。
開口部も工事中の雨漏りを避けるため、一旦覆ってしまいます。
屋根材を頂上まで葺き上げ、防水エプトシーラーを張ります。
棟際に見える黒い帯状の物で、雨水の逆流を防ぐ物です。
開口部を覆っていた防水シートを切り取り、雨漏り防止の水切りを取り付けます。
このように幾重にも水切りを取り付けるなど、防水処置を施すため雨漏りは発生しません。
屋根はその建物の設計によりいろいろな形状をしており、このような段差のある屋根を落ち屋根と呼びます。
この落ち屋根は反対方向からの屋根とぶつかる棟部が屋根の途中で出来るため雨漏り防止の処置が必要となり、技術を要する所になります。
勿論見栄え良く仕上げる事も必要です。
このように美しく仕上がりました。
大屋根も最後に棟を被せて完成です。
金属瓦に施された特殊な縮み塗装が、日光に美しく映えます。
正面の庇にはもう一回り厚みのあるスレート瓦が葺かれてありました。
ここは撤去して葺き直した方が綺麗に納まるため瓦を捲ります。
既存の野地の状態にします。
この上にゴムアスファルトルーフィングを敷き、板金役物を取り付けます。
金属瓦を葺き、壁際を仕上げます。
正面右側に庇があります。
そこの葺替えをしました。
建物の裏には三面の下屋根があります。
この部分はカバー工法で葺替えをしました。
壁際の不要な板金や木下地を撤去し、ゴムアスファルトルーフィング、新しい板金役物を取り付けます。
金属瓦を葺き、壁水切りを取り付け、壁際にシーリングを打ちます。
下屋根の葺替えも全て終わり、工事が完了しました。
リフォームでの葺替え工事はベランダやエアコン室外機などの設置物が多く、また狭所が多いためいろいろと工夫をしながら工事を進めていきます。
雨仕舞いは勿論の事、美しく仕上げる事が大事です。
その点がリフォーム工事における屋根工事の醍醐味だと私たちは考えます。
最後になりましたが、M様 この度は屋根工事をお任せいただきまして誠にありがとうございました。