向日市にお住まいのN様より板金屋根の葺替え工事をお任せいただきました。
before after
近年多発しております天窓からの雨漏りが原因となり、またお屋根のメンテナンスを兼ねまして板金屋根の葺替え工事をさせていただく事になりました。
天窓は採光のため、また一時期流行りのように屋根に設置されていましたが、天窓を構成する部品 多くはゴムパッキン等の経年劣化やシーリングの経年劣化、またはここN様邸のような緩勾配屋根に設置されるといった条件などにより雨漏りが多く見受けられるようになりました。
雨漏りを止める工事としましては、天窓の部品交換等はその多くが廃番やモデルチェンジ、または部品供給の停止といった事により不可能なケースが多く、新品に取り替えるか撤去して塞いでしまうかの二択となることがほとんどです。
天窓設置の最大のメリットは日光を多く室内に採り入れるところですが逆の効果として真夏の室温上昇を招く事、また日光による部屋の家具や調度品の日焼けなどが挙げられます。
正確な数字とは言えませんが、弊社の屋根工事におきましては7割方のお客様が撤去を希望されております。
雨漏りのご一報を受け、現場に急行致しました。
雨漏りの原因は明白でしたので、応急処置としてシートを掛けさせていただきました。
このシートは通常のブルーシートと比べまして紫外線に格段に強いUVシートと呼ばれるシートです。
一昨年の台風21号の被害で、街中の瓦屋根がブルーシートで覆われるといった光景を目の当たりにしました。
弊社におきましても想像すらしなかった程の応急処置のご依頼や、修理・修繕のご相談やご依頼等で電話がパンク状態となりました。
ブルーシートを掛けさせていただき、本工事までお待ちいただいたのですが、ブルーシートの劣化は想像以上に早く、掛けた屋根面の方角や風を受ける立地条件等にもよりますが、3ヶ月から半年でダメになった所が多かったと記憶しております。勿論本工事が完了するまでは何回でも掛け直し致しました。
一番の大敵が紫外線です。UVシートはその紫外線に強くブルーシートに比べ遙かに長持ちします。
ただあの当時は全て売り切れ、手に入らなかった記憶があります。
屋根の解体工事に取り掛かる前です。
ここの天窓は、既製品ではなく大工が木枠を組み立て板金屋が雨仕舞をするといったタイプのものです。
屋根となる板金と壁となる板金を撤去します。
このような屋根の周囲に壁がある形状をパラペット屋根と呼びます。
この形状だと、軒先やけらば、棟などが外側から見えないためすっきりとした外観になります。
また軒先や雨といが建物内に納まるので、道路との境界線ギリギリまで建物の壁を建てる事が出来るので、店舗などによく見られる形状です。
ただ雨水の処理を建物内で行うため、雨漏りのリスクが高まる事や、適正な施工であっても建材の経年劣化が雨漏りに直結する事も多くなります。
上の写真は板金屋根を剥がした後の既存下葺き(アスファルトルーフィング葺き)とその下葺き材を撤去した後の既存野地板の写真となります。
既存野地板の上に12mm構造用合板を増し張りします。
新設屋根材のビス保持力を高めるためです。
天窓の撤去、開口部の仕舞工事に取り掛かります。
施主様はお留守がちなため、開口部の内装工事も全て屋根の上から完結させます。
あらかじめ仕上げ材を貼り付けた蓋で開口部を閉じます。
開口部の内側に木枠を組み、断熱材を敷き込み構造用合板を張ります。
これで開口部は屋根構面として仕上がりました。
二次防水としてゴムアスファルトルーフィングを敷き込みます。
軒先部にはガルバリウム鋼板で成型した箱樋を取り付けます。
雨水を両サイドに導き、外部へ排出させるためです。
この箱樋の真下は室内の壁、天井ですので止水処理には最大限の注意を払います。
また壁となるところは下地の構造用合板を張り、防水透湿シートを張ります。
嵌合式立平葺きを施工していきます。
ガルバリウム鋼板で成型された葺き板を縦に並べて葺いていきます。
この屋根材の最大の特徴は、和瓦・洋瓦・横葺き金属瓦などあらゆる屋根材のなかでも緩い勾配の屋根に葺く事ができる屋根材であるといった点です。
瓦や横葺き金属瓦でも最低2.5/10が施工できる最低勾配係数ですが嵌合式立平はそれ以下の勾配係数でも使用出来ます。
勿論限度はありますが、施工スピードが早いのも特徴です。
パラペット屋根であるといった点からも、この嵌合式立平葺きを採用しました。
金属板を葺き終えると、パラペット内壁廻りの水切りや立ち上がり壁の板金張りを行います。
最後に新しい板金笠木を被せます。
葺替え工事が完了しました。
屋根は勿論の事、壁も笠木も新しい板金で包み込みました。
仕上がりにはN様にも大変満足いただきました。
最後に工事をお任せいただきました事、心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。